猪肉と鹿肉、ペットフードとしてはどう違うの?|意外と知らない扱われ方
猪肉と鹿肉、ペットフードとしてはどう違うの?
一般的にはフランス料理で扱われる鹿肉は高級品で、ちょっと癖が強そうな猪肉といったイメージでしょうか?
タンパク質が豊富な鹿肉はペットフードには最高などと、色んな立場の人が色んな言い方をしますが、実際どう違うのでしょうか?
結論から言うと、供給側の問題で、鹿肉が余るのでペットフードとして販売している傾向があるようです。場所にもよりますが、鹿は猪に比べると比較的簡単に捕獲ができる鳥獣です。ハンターには警戒心の強い猪の捕獲は、鹿の10倍難しいと言う人もいる程です。
獲れる種類と量は地域性がある。
昨今の鳥獣が増えすぎている山野でも、鹿が少なく猪ばかりという山もあります。鹿の多い山では頻繁に目撃情報や交通事故などがありますので、その地域では鹿が多く取れ、解体・精肉・消費が追いつかず、捕獲のみとなってしまう事が多い実情があります。
また、鹿肉は美味しく食べる為に低温調理という火加減の難しさがあり、今でもこの調理法はベテランハンター達には浸透していません。昔からハンター達は猪を好み、脂が少なく淡白な味の鹿肉は二の次と考える人が多かったので、そういう扱われ方をされて来たという傾向があります。
しかし、鹿肉は脂が少なく、山野を駆け回る筋肉量は高タンパク・低カロリーとなる為、ペットフードにはもってこい!という事もあり、有害鳥獣捕獲として奪う命が猪肉に比べると、廃棄される傾向にある鹿肉がもったいないので売る側がイメージ戦略でペットフードとして浸透している傾向があります。ただ、有害鳥獣駆除という目的で獲物を本格的に捕獲しだしたのも結構最近ですので、利活用というのは個人的にも前向きな活動だと思います。
冬場の猪は驚く程に脂がのっています。この脂は甘くて美味しいのですが、そのまま犬に与えると下痢をする子が出てきます。しかし、脂を取り除けば鹿と対して変わりません。また、夏場の猪は脂がほとんどついていないので、自分達の商品は品質を一定にする目的と下痢にしない為に猪は脂を取り除いていますが、その内容で鹿と比べると、成分分析結果でも大した差はありませんでした。
鹿肉 タンパク質→87.5% 脂質→4.4% 水分→10.6%
猪肉 タンパク質→86.9% 脂質→7.8% 水分→7%
そして肝心の犬の反応ですが、どの子もどちらでも喜ぶので、どちらがいいのか分かりません(笑)
自分達でも試食をしたのですが、種類の違う味はしますが、肉の旨味や力強さに差は感じられませんでした。
そうゆう結果を踏まえ、私は鹿肉と猪肉は同等品と考え、鹿は食べられるお肉の重量が3割、猪は5割程度と差はあり、供給側の都合で物の価値を変えるのは自分の考えでは嘘になってしまうので値段は同じにしています。ただ、捕獲量は時期による事もあるので、売り切れの場合はご容赦下さい。
猪と鹿の生体としての違いは?
猪は人間と同じ雑食ですが、通常は木の実、植物の新芽や根、キノコ、タケノコを食べています。カエルや蛇、ミミズなども食べますが、このタンパク質を必要とするのは時期によります。基本的に警戒心が強く臆病ですが、身体能力が高くてジャンプすれば1m50cmを飛び越え、鼻先で60kgを持ち上げます。猪突猛進と言われまっすぐしか進めないと思われがちですが、犬と同じように動き回ります。人がいない所では昼夜を問わず行動し、寝る時は身が隠れる所で寝ています。ヌタ場という場所で体温調整やマダニ予防の為に泥浴びをする習性があり、このヌタ場の周囲500m以内に寝屋があると言われています。嗅覚がすごく良くて、犬の50倍程度良いと言われています。比較的に薄暗く湿っている所を好むように思います。
鹿は反芻(草食)動物で一部を除き基本的に植物をほぼ全部食べます。胃が4つあり、消化する為に食べた胃の中のものを口に戻して咀嚼(反芻)を繰り返して消化します。この反芻の時は気持ちよさそうに休憩しながらゆっくりしています。寝る時は見渡しが良い尾根などで休む傾向があり、猪と比べると警戒心が薄いようで、何かあるとジッ観察し、聴覚がよいので音をよく聞いています。
比較的日当たりのよい所を好むように思います。
鹿は猪より公開されている研究結果が多いので外部リンクを参照下さい→鹿の生態 | DEER INFO-日本で唯一の鹿情報総合サイト
猪と鹿がお互いをどのように思っているのか?を彼らの目線で考えてみると、どちらも天敵がいないのですが、力関係で言えば猪の方が強いように思われます。雑食である猪は鹿の死体を食べる事もあり、これは熊でも言える事なので、鹿からすれば良く思っているはずがありません。
ただ、同じ獣道を使い、猪のヌタ場(泥浴びする場所)を鹿が飲み水にしたり、罠で撒いた餌を一緒に食べていたり、同じ場所デカメラに頻繁に写っていたりするので、ある程度の住み分けは出来ているようで、好きではないけど、そこまで害はないのでうまくやっているのではないかと思います。
と、このように結構違うのですが、ペットフードになるとそこまで差はなくなります・・・。
しかし、何故あんなに犬が喜ぶのかを考えると、食べると野生を生き抜く力強さ、生命力を感じられる事が良いのではないかと、全てを通して見ていつも感じています。
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ジビエ肉のペットフード専門店「FAVeUR!」では、大分県内でオーナーが自ら狩猟によって捕獲した命を無駄なく頂く為に、
解体・精肉・製造・販売を一環し、狩猟の持つ純粋さを伝える為、「シンプルで丁寧に無理なく」をモットーに運営しています。
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