生食について|ジビエ肉の生食!?レバ刺しが美味い!?犬は生食が良い!?
生食について
今回はちょっとハンター向けだったり、少しマニアックなお話になると思います。一般的に流通する事がない「生食」についてです。今では肉やレバー、海で獲れる牡蠣などを生で食べる事は想像もつかない人もいると思いますが、2000年前後までは結構当たり前でした。焼肉屋さんにいくと、ユッケやレバ刺しは人気メニューで行くと必ず食べるという人が多かったのです。
そんな生食が現代では提供禁止が当たり前です。なぜこのような事が起こっているのでしょうか?
生食の提供禁止の歴史
ユッケ(筋肉)レバー(肝臓)をゴマ油や薬味などで生食するという食文化が昔から存在しており、2012年から食中毒事件をキッカケに食品衛生法で「牛の生レバー」の提供を禁止されています。
(ここでで牛レバーは禁止されていますが、牛ユッケは禁止されておらず、条件付きでOKとなっています。)
2015年からは豚の生食も禁止されました。元々豚の生食が危険というのはこの前から一般常識だったので、提供を禁止する法律を設けていませんでした。しかし、愛好家達の声で、豚のユッケを提供するお店が増えた為、提供禁止する法律が出来ました。
レバ刺しって美味しいの?
ここで注目すべきは愛好家が声を上げる程、美味しいという事です。事実私の周りの師匠を含め、ベテランハンターさん達には鹿の生レバーには目の色が変わる人が多いです・・・。自分で獲って食べる分には自己責任で問題ないという考え方で、私もちょこちょこ食べたりします。しかし鹿のレバーは肝蛭(カンビル)という寄生虫がいる事が多いので、私はかなり注意しています。
この肝蛭はレバーの中心部の血管に切れ込みを入れると黄黒いドロっとした液と共に現れます。
蛭が出てこなくてもこの黄黒い液が出てくると私は廃棄するようにしています。
基本的に鹿は牛と同じ反芻動物ですので、自分の体調も万全の時しかレバ刺しは食べないようにしています。そして基本的に生食で腹痛を起こしたハンターは、痛みからその後は生食を一切しなくなるように思います・・・。
飲食店で提供禁止となっており、鮮度が大事で通常では食べる事が出来ない価値もあり、食べると確かに美味い・・・。
とこういう事を言うのも良くはない気がしますが、事実は事実です。
生食の危険性
ボツリヌス菌(クロストリジア属)という自然界に普通に存在している最強の毒と言われるウイルスがいます。ハチミツが乳児に禁止されているのもこのボツリヌス菌があるからで、これも菌量と腸内細菌が関係しています。野生動物の皮膚には当たり前のように付着していますが、内部(お肉)に入り込む事は外的要因以外はありません。有名なOー157やOー111などの大腸菌群にも全く同じ事が言えます。
この外的要因というのが、解体する時における衛生設備や方法などで付着し、それが増殖してしまうという事がほとんどです。手袋をしましょう!ナイフや包丁はこまめに変えましょう!処理施設では1次処理室と2次処理室を分けましょう!というのはこの目に見えない菌が最終工程までくっついてくるのを避ける為です。
何もボツリヌス菌だけではなく、こういった人体に害を及ぼす細菌は多種あり、その細菌が好む繁殖環境はそれぞれ異なります。クロストリジア属(ボツリヌス菌)は真空状態でも繁殖しますし、自分達が好む温度帯や湿度帯で異常繁殖する細菌もいます。
そう!飼育状態を管理できる家畜と違って、自然由来のジビエ肉には、実は危険がいっぱいなのです。
安全に食べる為に
ではどうすれば・・・というか当たり前の事なんですが、加熱が基本です。スーパーで買って来たお肉を生肉で食べる人はいませんよね?ジビエ肉も消費に関するガイドラインがあります。
中心部の温度が摂氏75度で1分間以上又はこれと同等以上の効力を有する方法により十分加熱して喫食
となっています。そうジビエ肉が販売されているという事は許認可を得ている処理施設から適切に下処理されたお肉ですので、普通に加熱して食べれば何も問題ありません。
ペット用に与える時に注意する事。
最近はペット用のご飯も手作りする人が増えて来ています。老犬や小型犬は少量でも添加物やグルテン・グレインが含まれているとアレルギーや体調を崩す子もいるので、無添加の高タンパク低カロリーのジビエ肉が最終着地点になるという人が多く、コアな人には必需品と言われる程に人気が出ています。
肉食動物は腸が短く胃酸が強いという特徴があります。野生では全て生食を食べて暮らしてきた犬の祖先のオオカミ。草食動物の内臓を食べる事で植物の消化酵素を持たないセルロースを栄養吸収したと言われています。
そんな経由から生肉が良いとされますが、獣医学会では疑問視されています。
☛公益社団法人獣医学会 Q:犬、猫に生の鹿・猪肉を与えてよいか
(追記ですが、猪肉にはオーエスキー病というヘルペスウイルス由来の感染症があり、発症すれば狂犬病と似た症状で同じくらいの致死率があります。生食はやはりしない方が良いと思います。)
ジビエを生で与えたりする試みがあります。動物園で駆除された獲物をそのまま与えるという行為です。
これもそのまま与えているようで、実はちゃんと熱処理しているようですね・・・。
猟犬にも犬の猟欲を持たせるなどの理由で、生肉を与える風習があるようです。実際私の身近な猟師のグループも生肉を与えています。しかしよくお世話になる獣医師さんには与えたらダメよ!と言われていますがベテラン達は言うことを聞こうとしません。
猟犬はチームで飼っており、猪にやられたり、崖から落ちたり、色んな理由で寿命が短かったりしますので、どれが原因で体調が悪くなったり下痢だったりという断定は一緒に住んでいないので出来ません。ただ、目が充血して目やにが多かったり、咳が多い子がいたりしたのを見た事があるので、外傷ではなさそうな所からもやはり食事の原因があるのかな?という気がします。
ただ、私もずっとペットフードとして検討しているのが、「グリーントライプ」という反芻動物の胃と胃の内容物の事です。
ハンターには身近な鹿の胃がこれに当てはまります。日本では馴染みがないのですが、外国のブリーダーやトレーナーが栄養食として必須と言っているという事で、理論としても間違ってはいなさそうです。☛グリーントライプの有用性
我が家の愛犬に試してみましたが、3頭のうち、1頭は不味そうにして残しました・・・。強烈な匂いが食欲を掻き立てるとの事だったのに・・・。我が家のゴールデンは散歩中に見つけた野生動物の糞を好んで食べるので、あまり参考にはならないのですが・・・。
まぁ、結局は自己責任になりますね。試す場合は小さく少量で様子を見ながらというのが基本です。
少量を体に入れて抗体を作るというのもワクチンと同じ発想ですが、免疫力は個々によって違いますし、分かりません。
こういう情報を知る事が大事だと思うので、取り扱いには充分に注意して自己判断でご使用下さい。
現時点で当サイトではペットフードとして生食にあたる食材は、安全の観点から使用していません。
理由としてはここまで読んで頂いた内容からも分かる通り、お客様の家族を危険にさらす訳にはいきません。
何卒ご了承の程お願い致します。
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ジビエ肉のペットフード専門店「FAVeUR!」では、大分県内でオーナーが自ら狩猟によって捕獲した命を無駄なく頂く為に、
解体・精肉・製造・販売を一環し、狩猟の持つ純粋さを伝える為、「シンプルで丁寧に無理なく」をモットーに運営しています。
栄養価が高くヘルシーな究極の無添加ペットフードを、ぜひお試しください。
屋号 | カミタケ商店 |
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〒879-7884 大分県大分市志津留1932-2 |
営業時間 | 9:00〜22:00 |
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